最後の授業~天才のたねの幸せレシピ④~

もうすぐ3月…

この時期になると、

いつも思い出す子ども達とのお話しがあります。

3年生の3学期の始めに

学級委員さんを決めることになりました。

たくさんの立候補者の中から

それぞれの想いをスピーチして選ばれた2人は、

どちらも学級委員さんになるのが初めてでした。

とびきり人見知りの女の子は

「このクラスを笑顔満点のクラスにしたい」

ちょっと頼りない男の子は

「みんなに頼ってもらえる学級委員になりたい」

とスピーチをして学級委員さんに選ばれました。

新しい学級委員さんが決まったので、

2学期の学級委員さんが2人の横に立ち

応援スピーチがありました。

2学期の女の子の学級委員さんは、

教室のみんなに向かって

「2人とも初めての学級委員で

ドキドキしていると思うから、

私たちに協力してくれたよりも

もっと協力してあげて下さい。」

とスピーチをしました。

2学期の男の子の学級委員さんは、

3学期の学級委員さん2人に向かって、

「勇気を出して立候補して、

選ばれなかった子の気持ちをくみとって

その子の分まで頑張って下さい。」

とスピーチをしました。

立候補をして選ばれなかった子どもの中に

顔を伏せて泣いている一人の男の子がいました。

チャイムが鳴って放課の時間になっても

顔を伏せて泣いている男の子の横に

黙って立って待っている2人のお友だちがいました。

一人の子は泣いている男の子の肩をさすっていました。

わたしは、その様子を見守っていました。

やがて男の子が泣き止んで顔を上げたときに

待っていた2人の友だちは「一緒に遊ぼう」と声をかけ、

男の子が「うん」とうなずいて外に遊びにでかけました。

放課の時間が終わり、

遊びから帰ってきた男の子にわたしは

「どうして涙がでちゃったの」

と聞いてみました。

すると、その男の子は

「みんなのために、ぼくやりたいことがあったから

どうしても学級委員になりたかったんだ。」

そして、

「ぼく、初めて学級委員さんになった2人に協力したい。」

と言いました。

わたしは彼がそう思えたのはきっと、

泣いている彼の側でじっと待っていてくれた

2人のお友だちのおかげでもあるなと思いました。

この子ども達との最後の授業は、

「モチモチの木」という物語文を読んで

感じたことを発表する授業でした。

「モチモチの木」は、

小心者の豆太が突然腹痛になった

大好きなじさまを助けるために、

真夜中、お医者様を呼びに駆け出して行く物語で、

その物語の中で、じさまが豆太に向かって、

「~中略~自分で自分を弱虫だなんて思うな。

人間、やさしささえあれば、やらなきゃなんねえことは、

きっとやるもんだ。」と言う場面があります。

わたしは子ども達に、「自分で自分を弱虫だなんて思うな」と書いた

作者は何をあなたたちに伝えたいのかと問うてみました。

すると、ザワザワしていた子ども達の心が静まって、

ノートにそれぞれに書き出しました。

そして、書き出した言葉を

子ども達が発表していきました。

「勇気を出して、自分を信じること」

「自分の悪いところばかり見て、自分を決めつけずに、

勇気を出してチャレンジして、才能を見つけて、

またチャレンジすること」

「最初からやらない悔いよりも

やって残る悔いの方がいい経験だということ」

「人間は生まれてから一人ひとりの心は

おくびょうではなく、人それぞれ違った

いろいろな個性があること」

一人ひとりの子ども達の言葉を心で聴きながら

1年間を共に過ごした子ども達一人ひとりの

心の成長を感じた瞬間でした。

でこぼこでも真っ直ぐじゃなくても

前に前にと進む力が子どもにはある

そして、子ども達一人ひとりに

よさや才能、その子らしい「天才のたね」が必ずある

そう信じているわたしが出会った子ども達とのお話しです…

わたしの心の中で、思い出すたびに

星のカケラのようにきらめき光る金の一粒一粒たちです。

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