天才のたね

わたしの周りは全て敵だと気づいた瞬間に、周りは全て仲間だと思える現実が創られる

3~4ヶ月に1度ぐらいのペースで逢う女子と

京都で再会した。

「最近どうなの?」

と聞くと、

「ずっと自分の心と向き合っていて、

とことんまで落ち込んで気づいたことがあって、

ただ、これを言うと、普通誤解を受けるし、

あんまり周りには言えないんだけど…」

と前置きをした後で、意を決したように彼女は言った。

「わたし、周りの人達がどんなに優しくて、

いい人達だって分かっていても、

ずっと敵だと思っていた自分に気づいちゃったんです。」

そして、彼女はなぜそう思ったのか、

どんなプロセスで周りをそう捉えていた

自分に気づいたのかを語り始めた。

彼女との出逢いは、今から約1年半前…

旅先で出逢ったのが彼女だった。

その時の旅のメンバーは10人ほどだったのだが、

わたしはその時「内なる創造性と繋がる」を意図していたので、

旅先で出逢ったメンバー達とほとんどおしゃべりをすることなく、

一人でいる時間を楽しんでいた。

今振り返ると、深いところに繋がる対話は楽しいけど、

がちゃがちゃした思考から発せられる会話は、

「今までの人生でいっぱい聞いてきたからもう要りません。

せめて旅先では遮断させてください」という心境だったのだ。

その旅で自分から話しかけた数少ない人の一人が彼女だった。

怖がっていることがあるのに、

それを我慢して言えないでいるのが感じられて気になり、

旅の意図に反して、つい関わってしまったのだ。

そしてその後、旅が終わってからもたまに逢うようになった。

彼女はその後、

夫婦の危機を含めて人生のしんどい時期を乗りこえ、

今年の春、再会した。

その時の会話は、

一緒に働いている旦那さんから叱られる、

そしてケンカになってしまうことがあるという内容だった。

じっと彼女の話を聴いていると、

表面に現れているのは旦那さんとのケンカだったが、

その原因には年上の女性に対して

彼女がけんか腰になってしまうという

彼女ならではのパターンが捉えられた。

どうも特定の女性に対して彼女がストレスを感じて

本人は無自覚だが反応しているのだ。

そこで、彼女が年上の女性に対して

どう思っているのかを聞くと

「高圧的な女性がすごく嫌だ。苦手だ。

だけど、旦那さんともケンカになってしまうし、

こんなことを思っちゃいけない。」と彼女は応えた。

旦那さんとケンカをしたくなくて、

嫌いだ・苦手だと思う自分を否定する…

だれかを大切に思っていると、

その人との関係を大切に思うあまり、

自分の気持ちを大切にすることを

後回しにしてしまうことがある。

だからこそ、彼女に言った。

「高圧的な女性が嫌いで苦手なのでしょ。

そう思うならそれでいいの、大丈夫。

そういえば最近、

まなゆい(愛結い)というのを知ったから試してみようよ。」とうながし、

「高圧的な女性が嫌いで苦手なわたしを受け入れ、認め、許し、愛します。」

と2人でやってみた。

すると、彼女は「いいんだ、嫌いで…」とつぶやいて涙を流した。

わたしが出逢ってきた子ども達や大人達、

そしてわたし自身にも共通して言えることがある。

それは、嫌い、苦手、恥ずかしいといった思いが「ある」のに

心の中で否定して「ない」ことにすると

それは拡大して苦しくなるのに、

それが「ある」ということを認めて受け入れると、

小さくなってちょこんと心に収まるようになるのだ。

そしてその後、魔法のようなことが起きることがある。

彼女もその一人だった。

そして先日…

秋になり再会した彼女に、

「そうそう、高圧的な女性に対して今はどうなの。」

と聞いてみると、

「あれ、そういえば、大丈夫になって自然に愛想がよくなったの。

旦那さんにも、どう?わたし愛想がよくなったでしょって言っているの」

と彼女が笑った。

「思っちゃいけない」と否定していた時には

年上の女性にけんか腰になってしまうという行動が繰り返されていたのに、

「嫌だ・苦手だ」という思いを「ある」と受け入れたら、

自然に年上の女性が大丈夫になっていったのだ。

そして、その後彼女は

「なぜなんだろう」と自分の心に向き合うということをして

彼女の「周りが敵だと思っていた自分に気づいた」のだった。

わたしは彼女が語るのを聞いて最後に、

「まあ、ずいぶん周りはあなたに優しくしていたのに、

その優しさを受け取らないでいたとは

だいぶひねくれていたのね。」

と言って、京都の町を歩きながら大笑いした。

彼女はわたしの肩をパンチしながら、

「そんな風に言わないで下さいよ。」

と言って一緒に笑った。

「周りが敵だと思っていた自分に気づいた」彼女はきっと、

そんな自分も心の中にちょこんと置いて、

ふわふわな心を守りながら慈しみながら、

周りの人に自然に優しさを分かち合う人になっていく姿が

わたしに見えた。

彼女は気づいているだろうか。

「周りが全て敵だと思っていた自分に気づいた」瞬間に、

それまで心の奥底にずっと潜んできた

「周りが全てが仲間だと思える」現実を創るパワーが

彼女の内側から立ち上がったことに…

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生 愛知県在住。元小学校教員。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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