「ありがとう」から始まる出会い~新学期編~

2019年5月26日名古屋で開催された

「発達が気になる子の応援支援

~子どもの見方を変えて味方になろう~」

個性を大事にする育ちあいコミュニティ 星の子ステーション主催

安部利彦先生の講演会に参加しました。

豊富な事例と具体的な実践に基づいた

安部先生のお話は示唆に富み、

かつ分かりやすくて、

これから何ができるかのヒントがいっぱいでした。

ADHD、ASD、LD……

周りの子ども達と同じことができなくて

「どうせぼくなんて」

「わたしはダメな子だから」

と自己肯定感が低く、

褒める言葉が心に届かない子ども達の

支援をされてきた安部先生は

「わたしの出会った子ども達はみんな素敵で

素敵な子ども達を応援したい。

子ども達の応援団を全国につくる」

から、お話しを始める方でした。

(わたしは、↑ここがスーパー共感ポイントです)

そして、講演会の終わりに安部先生は、

「保護者が忙しい中、学校を訪れたら、

『当たり前』ではなくて『ありがとう』

(生きづらい)子どもがしんどいながらも

笑顔を見せてくれたら、

『当たり前』ではなくて『ありがとう』

教師が何か工夫して支援をしたら、

『当たり前』ではなくて『ありがとう』

『ありがとう』から始まる特別支援をしよう」

と、お話しをされていました。

そのお話しを聞いて、

わたしはふと思い出したことがありました。

わたしも4月最初の子ども達との出会いは

「ありがとう」から始めたいなと考えていて、

工夫していたことがあったのです。

4月の新学期の初日は始業式、担任発表の後、

怒濤(どとう)の時間が控えています。

・教科書を教室に運ぶ

・教室で自己紹介

・1年間の方針演説

・教室で教科書配布(小学校4年生で当時13冊程度)

・プリント類の配付

・明日の連絡を連絡帳に書く

・帰りの会

これらを、限られた時間の中で

初めて出会った子ども達とやりきらないといけません。

時間に余裕がないと心にも余裕がなくなって

イライラとしたり、大きな声で指示をしたりすることが起きてしまいます。

それでは、4月の出会いが台無しです。

初めての子ども達との出会いの日に

気持ちよく1年のスタートをきるために

わたしは「どうしたらいいものか」と考えました。

子ども達と初めて会う日に

子ども達と目と目を合わせて、

「ありがとう」から1年を始めたいなと思いました。

そのために、

どこの時間を短縮して、

どこに時間をかけて、

どこで「ありがとう」を入れるかと

策を練りました。

①教室で自己紹介→これは必要 5分以内

②1年間の方針演説→2分以内のキャッチコピー

③教室で教科書配布(中学年で当時13冊程度)

 →1番時間がかかるここに「ありがとう」を入れる

④プリント類の配付→10分以内

⑤明日の連絡を連絡帳に

 →明日の予定などを書いたプリントを用意して配付し、

 連絡帳を書き、集め、点検し、返却するという時間を短縮する。

⑥帰りの会

 →10分確保

と、計画をしました。

当日は、

①~⑥までを黒板にかき、

〇時〇分 ⑥ 

〇時〇分 さようなら

と、黒板に書き、

子ども達が今から何をするのか

1日の見通しをもてるようにします。

(これは、とても大切で、「今から3つのことを話します。」とか

「今から4つのことをします」と明確に伝え、

黒板に書き、一つ終わるごとに消していくことで、

聞き取ることの苦手な子どもにも伝わるようにします)

「ありがとう」の教科書配布は次の通りです。

1列目の子ども達は自分の分と後ろの席の子ども達の分の

教科書を受け取り配ります。

といった内容を、1列目の子ども達に明確な言葉で伝えます。

子どもがわたしのところに来て、「5冊です」と伝えると、

わたしは、教科書を5冊渡し、

わたしは、子どもの目を見て「ありがとう、よろしくね」

と言って、笑顔を向けます。

これを1列の子ども達、8人分繰り返します。

次は2列目の子ども達に教科書をとりに来てもらいます。

先に配った国語の教科書の上に次の教科書を置くように伝えます。

同じように子ども達に

「5冊です」と伝えてもらいます。

わたしは、教科書を5冊渡し、

わたしは、目を見て「ありがとう、よろしくね」

と言って、笑顔を向けます。

これを2列目の子ども達、8人分繰り返します。

すると、子ども達がだんだんと何をするのかに気づき始め、

わたしが「2列目の子ども達とりに来て下さい」、

「3列目の子ども達とりに来て下さい」と順に言わなくても、

子ども達はとりに来ます。

その間わたしは、基本的に

「ありがとう、よろしくね」と笑顔で伝えます。

これを教科の種類分繰り返します。

そして、全ての教科書を配布し終わると、

順番に積み上がった教科書を、1番上から順番に

「図工の教科書をぱたん」と言って、

隣に1冊目を移動させます。

すると、子ども達は何をするのか気付いて、

2冊目の教科書を「音楽の教科書、ぱたん」と一緒に言って、

音楽の教科書があるかを確認します。

「算数、ぱたん」、「国語、ぱたん」と

配付した教科書全てが子ども達に行き渡ったのを楽しく確認すると、

「みんなの協力のおかげで、みんなに教科書が配布できました。ありがとう」

と言って、教科書配布を終わります。

1回も大きな声を上げることもなければ

誰かを叱ることもありません。

「ありがとう、よろしくね」の言葉を

子ども達はわたしからたくさん聞いて初日が終わります。


この教科書配布の方法を新任の先生や2年目の先生方にシェアしたら、

何かと緊張する1日目に「できました!」と

フィードバックをいただいたこともあったので、

お役に立てたら幸いです。

安部先生からは

・教師に言われて親が傷ついた言葉

・「発達が気になる子ども」の周りの子ども達への対応

・LDのリフレーミング

など、まさに!と思うお話しがありました。

安部先生から許可いただいたので、またシェアいたします。


安部利彦先生とは? こちら

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ABOUT US

ペンギン先生(たかはし あやお) 岐阜大学教育学部を卒業。 ポルトガル語の通訳として南米出身労働者の生活・労働相談に 約10年間携わり、その日々を通して「寄り添うことの大切さ」を学ぶ。 その後、日本語指導員として公立の小中学校を巡回指導していた時に、 外国人労働者の子ども達の殆どが進学を諦めるという現実を知り、 「国籍や家庭環境に関係なく、才能が開花する方法がきっとある」 という想いから小学校の教員に転職する。 最初は学力向上に力を注ぐが、 学級崩壊を体験したクラス担任に抜擢された時に、 不安感が高く、自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、 試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、クラスを立て直す。 これらの経験を通して、安心・安全な環境作りの 独自の手法を体系化し、翌年、学校全体に共有化すと、 全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が、 学校全体で86%、担任していたクラスでは97%へと向上する。 また、発達障がいや外国籍児童、生活困窮家庭を背景とする 児童が多くクラスに在籍する中で、 安心感の高いクラスとして心理学(選択理論)の論文の研究対象となり、心理学(選択理論)の大学院教授からは「奇跡のクラス」と称される。 子どもたちと共に過ごした日々を通して、 思いやりと優しさは生まれもってみんなに備わっており、 「天才のたね」も一人ひとりの中に必ずあること、 天才のたねは思いやりや優しさを通して開花することを学ぶ。