子ども達との物語

じっと見つめてみると~ある日の出来事~

子ども達とじっと見つめてみると

1日小学校にいた、3回目の代打先生の日

給食の後に、全員で外掃除がありました。

校庭には、カラスのえんどう、クローバー、

シロツメグサが生えていて

子ども達は、草抜きをしているのか

四つ葉のクローバーを探して遊んでいるのか

よく分からない時間となりました。

わたしは、カラスのえんどうを見つけて

「あ!これで草笛ができるかも!」

と言って笛をつくると

以前、「今日のひとこま」に登場した

10分の6悪口男子が

「できる確率10%」と言ってきたので、

なぬ!っとなりつつ

子どもの時以来ぶりに吹いてみました。

草笛が、なっならない・・・・ちーん

にやりと笑う10分の6悪口男子。

すると、近くにいた男の子が

「先生には、今悪い運がついている。

だから、おはらいをするのだ」

と言って、引っこ抜いた草を

わたしの頭の上でバサッバサッと振り回しました。

そこで

「どうぞ、悪い運をお祓い下さい」

と言って頭を下げると

「んんん、なかなか悪い運が離れていかないぞ。

こうなったら、このシロツメグサの束をほぐしておはらいだ。

金運もよくなるよ」

と言って、シロツメグサの花束をばらばらとほぐし

「うん、これでよくなった」

と言って笑いました。周りの子ども達も笑っていました。

そんなこんなで、外掃除の時間が終わり、

どうりで外掃除と聞いた子ども達が

はじけるように弾んで外に出て行った訳だと思いながら、

ゴミ捨て場に草を捨てに行きました。

ついつい「外掃除は楽しいな~♪」と鼻歌が出てきたところに

後ろについてきていた女子2人から

「先生って、1年生みたい!

高校1年生じゃないよ、小学1年生だよ。

外掃除は楽しいな~だって、アハハハハ」

と笑われました。

ゴミを捨て場からの帰り道、

同じ道を戻ってきた時のことです。

さっきの女子2人が隠れていて

ワッ!と驚かしてきました。

すごくぽんやりと歩いていた時だったので

ビックリ!!!!

「心臓が口から飛び出たよ!」

と驚いたわたしの顔に女子2人は大笑いで

わたしも笑えてきて、

一緒に笑いながら歩いていたら

ツバメの巣を発見しました。

ひなにえさを運ぶ親ツバメを

3人でその場に佇んで(たたずんで)

じ~っと眺めていました。

5,6時間目の授業は図工でした。

テーマは「じっと見つめてみると」でした。

一緒にじっと見つめてみると

2時間目の放課の時間に

男の子達が床に寝転がって連なって

一人が先頭の子どもの手を引っ張ると、

床に寝転がった男子全員が床をスススーッと連なって

波のように動いていくことに

女の子達と一緒に「男子のやることってアホや」と大笑いしたり

「ノートを書こうとしない子」が苦手とする筆算に挑戦したらできて

肩を組んで一緒に喜んだり

「先生って1年生みたいだ」って

女子2人から笑われたり

笑ってきた女子2人とツバメの巣を一緒に眺めて

「生き物ってすごいな」と話したり

1日、子ども達と一緒に

誰かや何かをじっと見つめてみる時間が

とても愛おしいなと感じました。

気管支の弱いわたしが

大きな声を出したり、チョークの粉をすって

ゴホゴホと咳込むと、

「どうしたの、先生?」

と1番最初に聞いてきたのは

10分の6悪口男子でした。

「大きな声をずっと出すと、

気管支が弱いから咳がでちゃうことがあるの。

お話しが聞きづらくてごめんね」

と言うと

「べつにいい。」と彼は言いました。

そう言えば、10分の6悪口男子が4時間目の算数で

「筆算は書かないしやらない。面倒くさいんだよ!」と言ったので

「面倒くさがって、漢字ノートも計算もだだくさにやって、

あなたの才能がもったいないよ。

あーーもったいない!もったいない!」

と言い返すと、

その時はだまったままでいた彼が

5,6時間目の図工の時間

「もう1回描き直したいから、新しい画用紙をもう一枚下さい」

と言って来ました。

子ども達もじっと見つめてみると

「図工の下書きは画いてあるので

それを画用紙に写すだけです。

子ども達には、写真も持ってくるように言ってあるから大丈夫です!」

という担任の先生の言葉を受けて、

授業を勧めようとしたら・・・

写真の準備をしていない子がいたり、

お魚に人間の目をかいていたり、、、

子ども達の絵をみたら、

描く対象物をぜんぜんじっと見つめていませんでした・・・・

そこで、急遽、写真などの用意をしていない子ども達と図書室に行って、

それぞれが描きたいと思って頭の中で想像している絵に

近い写真を図鑑などから探して

じっと見つめて、観察して描くための準備をしました。

本当なら、さっき抜いたシロツメグサやサやエンドウを教室にもってきて

実際に感触や匂いを感じながら描いたり

ツバメの巣の下で観察しながら描いたりしたら

もっと楽しくなるのになと思い、

次回の参考にしようと心にメモしました。

図書室で写真を探す一手間(ひとてま)によって、

子ども達のやる気が変わりました。

「面倒くさい!」と言っていた10分の6悪口男子も

「これが画きたいんだ」と言い始めていたし

魚に人間の目を画いていた子の魚の絵は

同じ子が同じ日に描いた絵とは思えないぐらい

表現が精密になり変化しました。

6年生の教室の廊下に掲示してある

奈良の「しか」を描きたいと言った女子は

「じゃあ、廊下で描いてくる?」と聞いたわたしに

「絶対に一人じゃ嫌だ!」と言って

最初は行こうとしなかったのに

図書室で一緒に探しても

望んでいた景色の写真が見つからないことが分かると

「やっぱり廊下に行って描いてきます」

と言い始めました。

机代わりの段ボール箱を用意して

「いってらっしゃ~い」と見送りました。

失敗したなと反省しているのは

子どもがすごく一生懸命に描いた「滝」を「大木」だと

勘違いして褒めてしまったことです。

そうだった!そうだった!絵はそこのところが要注意だった!と

帰りの車の中で一人猛反省会でした。


さようならをした教室で、

「先生、にぎりっぺするから〇〇君を叱って下さい」

と男の子が言いに来ました。

「にぎりっぺって何?」と聞くと

「おならをしたら、それを手でつかんで鼻にもってくるんだ!

それがすごくくさいんだよ」

と言ったので、

「それは、かなりくさいね」

と言うと、

「そうなんだよ!3回も4回も、やってくるからくさいんだ!

 あいつのおならはすごくくさいんだ!」

と言って、〇〇君のところに戻っていって

じゃれ合いながら帰って行きました。

いつも教室に残る女の子が2人、

「先生、あのね」と特別席(先生の机のとなり)になった

「ノートを書こうとしない子」の最近の様子を教えてくれました。

先生をじっと見つめてみると

担任の先生の様子にふと気になることがありました。

「子ども達には言っておきます」との言葉、

黒板には「先生の言うことをよく聞いて」と書いてあったこと、

「言うことをきかなかったら、一喝してください」と言われたことに

「あれ?」と違和感を感じたのです。

実際、朝教室に入って、「今日は〇〇をします」と1日の流れを伝えたら、

「そんなこと聞いていないし」「え~~嫌だ」

と子ども達の中から何人かの子が声を上げました。

その子ども達の様子から、

先生への反抗心が育っているのを感じました。

どんなに大声を出して言ったとしても、

「言う通りにしなさい」と言ったところで

「子どもは言うだけじゃ聞かない」ということを

子ども達の(反抗する)姿から身をもって知り

悩み始めているのかもしれないなと思いました。

子ども達を一喝する前に、

彼ができることで

一番最初に取り組んだら

今の状況が変わるきっかけになるであろう

最初の一歩をメモに書いて帰りました。

山本五十六さんの言葉をヒントにしました。

~・~・~・~・~・~・~・~・

やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ

話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず  

やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず

               ~山本五十六(いそろく)~

関連記事 今日のひとこま

    「ノートを書こうとしない子」が教えてれたこと

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ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生 愛知県在住。元小学校教員。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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