愛のムチか無知のムチか~子ども達の姿が真実~

子ども達が幸せに生きる町づくりに取り組み、

学習支援なども行っている方から、

「学習でつまずいた子ども達に

何から教えたらいいでしょうか。」

とご質問を受けたときに、

何かにつまずいた子どもが立ち上がるには

安心する関係性適切な課題の設定が必要なので、

崩壊した関係性が再生するのにとても有効だった

ある理論をさらっと説明したら、

身をのりだして聞いていただいたうえに、

「そうですよね!そこですよね。

もやもやと思っていたことがカタチになってきた。」

とフィードバックをいただきました。

その時にふと、

「そうだった!この理論、確かに役立つかも」

と考えるに至り、ここにシェアします。

実践した効果としては

・目の前の子ども達との関係性が著しく変化します

そして、子ども達は

・自己肯定感が高まる

・学力も高まる

・主体的に生きるようになる

 などの変化がありました。

わたし自身としては

・日々が楽しくなり、足元からの幸せが広がる

・子ども達の一人ひとりの天才性があると信じられる

・何かが起きても、何とかなるという妙な自信がつく

・これって奇跡!?と思うような出来事が展開する

ただ、こちらの理論は、

システムに適合することをよしとする方や

自分から行動を変えることを恐れる方には向いていません。

その場合は読むのはここまででお願いします。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

こちらの理論は、大切な人達と仲良くしながら

自分の願いも大切にすることを真摯に問う理論です。

1 なぜ大切な人との関係性が崩壊するのか

いつも友だちとケンカになって、

「仲良くしたいのに、できないんだ!」

と、わたし訴えた子どもがいました。

わたしは、子どもの訴えを聴いて、

「そもそも仲良くするって何か」

「仲良くしたい」という子どもの想いを叶えるのに

「わたしは何ができるのか」と問いをもっていた時に

見つけ出したのが、こちらの「選択理論」です。


この本には、

「精神科医として40年間の経験を通して、

不幸な人は全て同じ問題を

かかえているということが明らかになった。

仲良くしたいと思っている人と仲良くできないのだ

という記述があり、なるほど!と納得すると共に、

例えば、頭で考えることと心で感じることがずれて、

自分自身とも仲良くできない時には確かに苦しいと、

理解しました。

さらに、この本には

「不幸が存在し続けるのは、

他人が自分の思い通りにならないときに、

対応の仕方として、

強制とコントロールしか思いつかないからである。~略~

親も、そのまた親も、教師も指導者も、

私たちの知る人々のほとんどが使ってきた」

と、書かれていました。

わたしは、この理論を知って、

強制とコントロールが関係性を壊す「不幸のたね」なら

別の対応を子ども達にすることで

「幸せのたね」を蒔くことができるかもしれない、

目の前の子ども達に、

わたしの教室の中から、

幸せな生き方を示すことができるかもしれないという

一筋(ひとすじ)の希望を感じたのです。

570ページに及ぶ内容は子ども達が理解し、

日常の中で使うには難しすぎるため

学校現場で理論を活かせる本を探していた際に

見つけたのがこちら↓


アメリカの女性対象の刑務所で

選択理論を学ぶ受講者がめざましく変化をし、

「優しさ」を表現できるようになって、

通常の再犯率は60%のところ、

選択理論を学んだ受講者の3年後の再犯率は

0%という実績のある理論でした。

こちらの著者は、

「刑務所で人が変わるなら、

学校で人が変わらないはずはありません。

選択理論を学校や家庭で実践し、

それを児童や生徒が学べば、

この刑務所で起こっていることに匹敵することが

起こるのではないでしょうか。」という想いから、

選択理論と学校での実践について書かれていました。

そして、中学生・高校生対象、

小学生対象の学習指導案が掲載されていました。

 選択理論の授業をやろう!

と決め、日本語を母語としない外国籍児童にも

伝わるようにと

人間関係を壊す7つの習慣を「チクチク」

人間関係を築く7つの習慣を「ふわふわ」と工夫して

青色のチクチクの形をした画用紙に

友だちの心を「チクチク」とさせる行動

ピンク色のふわふわ雲の形をした画用紙に

友だちの心を「ふわふわ」とさせる行動を書き、

授業を試みました。

選択理論の中では7つの行動が定義されている。
10才の子ども達に分かりやすくするために、授業では5つにし
「ひはんする・せめる・文句をいう・むしをする・たたく、ける」とした

人間関係を壊す7つの致命的習慣(行動)とは、

外側から相手を変えようとして、

「批判する」「責める」「文句を言う」

「ガミガミ言う」「脅す」「罰する」「褒美でつる」など

相手を思い通りにしようとする行動を

外的コントロールといいます。

そしてわたしは、最初の6つの行動をムチ

最後の1つの行動をアメとして

子どもに対する教師の行動の中で、

上記の行動をとる教師を

アメとムチ系賞罰指導をして子どもと関わっている

 アメとムチ先生だ」

と冷徹な目で行動観察していました。

アメとムチ系賞罰指導では、

その教師が子どもを思い通りにしようとする行動なので、

その教師の「させたい」ことと

子どもの「やりたい」ことが一致しないときに

子どもの「やりたい」ことが、

教師の力によってくじかれるということが起きます。

親子間、夫婦間でも外的コントロールは起きます。

アドラー心理学では、

このようなアメとムチ系賞罰指導は、

相互信頼・相互尊敬に基づく教育観とは対極にある方法で、

子どもを支配・依存させるやり方とし、

教師から見た優れた点を評価し、

劣った点を叱責すること(支配)で、

顔色をうかがって行動する子

反発する子が育つとされていました。

ですから、大人の思う通りにならない

「問題」行動をとる子どもが目の前にいて、

「ダメです!きちんとやりなさい!」

と責めたり

「やる気を出しなさい!なんで言うことを聞かないの」

とガミガミ言ったり

「どうしてできないの!やれるまでご飯は後」

と罰したり

「時間の無駄!」「どうせやっても失敗する」

と努力している最中に批判したり、

「〇〇さんの方がよくできる」

とだれかと比較して評価したり

「テストで100点とったら100円あげる」

と褒美で釣ったりしているなら、

まず大人のその行動をやめること

子どもの「問題」行動を変えることになります。


当時、わたしの目の前には

・親から殴られたり、暴言を言われたりしている

・親や先生達から誰かと比較されて、

「ダメな子だ!」と存在を否定されている

・友だち同士の関係性は冷たく、

 お互いを嘲ったり(嘲ったり)、馬鹿にしたりしている 

子ども達がいました。

不安と孤独な状況に置かれて、

周りの大人達から大切にされていない子どもというのは

こんなにも心が荒れて、

そして互いに傷つけ合うのだということを

日々、まざまざと見せつけられていたのです。

世界で起きている戦争というのは、

人がやっていることだから、

どこまでしたら相手が傷つき

再起不能になるかを予知したり、

制御したりすることができない

心と理性の荒廃にあるのではないかと

日々の子ども達の姿から考えたほどです。

一方で、

ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」を読んで、

ぎりぎりの極限状態になっても人には朝日を見て

「世界は美しい」と感じる心があるんだから

わたしはまだ大丈夫だと自分を励ましていました。

4月の下旬には、子ども同士の言い合いから

「だったら死んでやる」と言って、

2階の窓から飛び降りようとする子どもまで現れました。

10才という年齢で、

自分の存在自体を衝動的に否定してしまうくらい

心の中に「自己否定」いっぱいの

子ども達を目の前にして、

子ども達が暴言を吐いたり、暴力をしたり、

誰かを否定して嘲ったり(あざけったり)、

馬鹿にしたりしているのは、

子ども達が周りの大人達から日々されてきたことを

子ども達が大人達のまねをしてやっていることなのです。

「ダメだ!」「いけません」と口で言ったところで、

周りの大人達がその行為を子どもにやり続けている限り、

子ども達に変化は起こせません。

子ども達に子ども達が本来もっている

優しさを表現してもらいたければ

まず大人が先に優しさを表現することから、

子ども達に話を聞いてもらいたければ、

まず大人が先に子ども達の話を聞くことから、

わたしから始めることが必要なのだと痛感しました。

この当時、子ども達の「小さな声」を聴くのに必要に迫られて

身につけた対話法は、

暴力に変わる平和的な選択肢を提供する

NVC理論の対話プロセス

(観察→感情→ニーズ→リクエスト)とそっくりでした。

この頃読んだ育児書

「子どもが育つ お母さんの言葉がけ 汐見稔幸 」

には、子育てで使いがちな言葉に

「ダメ」という言葉について書かれてあり、

それまでの自分が子ども達にしてきたことを振り返って

自分の無知っぷりに忸怩たる(じくじたる)思いをし、

猛反省したわたしは、

子ども達のどんな行為に対しても

命に対する危険行為(絶対的な禁止)以外は、

「ダメだ!」という否定から関わることを

やめると決意し、それまでとは異なる道に向かって、

一歩を踏み出したのです。

2 関係性を再生した対応


選択理論の中では7つの行動が定義されている。
10才の子ども達に分かりやすくするために、授業では5つにし、
「話をよく聞く・助ける・はげます・信じる・受け入れる」とした

選択理論では、人にはそれぞれに叶えたい

上質世界(願望)があり、

その上質世界(願望)を実現しようとして、

人は内側から動機づけられて行動すると考えます。

これを内的コントロールといいます。

子ども達に選択理論の授業をするということは

人間関係を築く7つの習慣(内的コントロール)で

子ども達に関わると宣言するということです。

「ダメ」という否定の言葉をやめて

「どうしたの」と聞くことを徹底的に自分に課しました。

「ダメだ」と否定されたり、

命令されること・指示されることに慣れていた子ども達は、

「面倒くさいし・やりたくないし・できないし」

は言うことができても、

「あなたのいいところを教えて」

と聞いても最初の頃は応えられず、

「本当はどうしたかったの」「何がしたいの」

と聞いても首をかしげていました。

ケンカをして相手を威圧したり

攻撃することは長けていても

話し合って譲り合うことは下手でした。

そこで、「ふわふわ」と「チクチク」を教室に掲示し、

子ども達にどちらの行動を選択しているのかを

「見える化」したのです。


ふわふわの行動が増えて、教室の中に安心感が広がると、

子ども達がそれぞれの課題に

チャレンジするようになっていきました。

子ども達は「なりたい自分」をイメージしたら、

わたしと対話しながら、

それぞれの課題を設定し、

その課題を乗り越えるための行動を決めて、

その行動ができると自信になり、できないと

次はどうしたらいいのかを考える学びになりました。

失敗や間違いは叱責の対象ではなく、学びのたねです。

子ども達は、いっぱい挑戦して、いっぱい失敗して、

いっぱい学んでいったのです。

「過去」に固執せず、

「未来」に夢や希望を描きながら、

「現在」の生活に焦点をあて、

わたしにも子ども達にも

今できることは何かと問いながら、

「なりたい自分」に向かって、

小さな選択と行動をこつこつと行う日々の中で

子ども達は著しい変化と成長を見せてくれました。

子ども達とわたしとの関係性の中で

外的コントロールから解放された子ども達は

本来の力を取り戻して

それぞれの天才のたねを発揮していったのです。

さて、

アメとムチ系賞罰指導は、

愛のムチだろうか

それとも無知のムチだろうか

子ども達の姿が真実です。

選択理論は、大切な人と仲良くしながら、

自分の願いも大切にすることを真摯に問う理論です。

子ども達の変化について

謝ることのできない子どもが変わった~「地蔵君」の喜びの花が咲く日まで~

崩壊したクラスから温かな家族のようなクラスへ

学級崩壊したクラスを再生する~愛おしいを育む居場所~

イライラケンカを乗り越える~子ども達の再生と成長~

人は変われる~心も羽ばたける~

算数の文章題につまずいた子ども達がのびのびの~びた

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子ども達に試みて効果があった理論紹介

学級経営 ポジティブ心理学「ロサダライン」

無気力や暴力への対応 アドラー心理学「子どもの不適切な行動4つの目標」

子どもの個性を見取るにはコーチング(行動から4つのタイプに分ける)

つまずいても立ち直る子かどうかの見取り「自尊感情尺度SOBA-SET」

自分自身について知る 「ペンシルバニア大viaテスト(強み発見)」

子どもの得意とする知性を見出す 「ハーバード大ガードナー多元的知性」

子どもへの言葉かけ 「子どもが育つ お母さんの言葉かけ 汐見稔幸」

余談:崩壊したクラスを再生した2年後に、

汐見先生とご一緒にキューバに行くことになろうとは!


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ABOUT US

ペンギン先生(たかはし あやお) 岐阜大学教育学部を卒業。 ポルトガル語の通訳として南米出身労働者の生活・労働相談に 約10年間携わり、その日々を通して「寄り添うことの大切さ」を学ぶ。 その後、日本語指導員として公立の小中学校を巡回指導していた時に、 外国人労働者の子ども達の殆どが進学を諦めるという現実を知り、 「国籍や家庭環境に関係なく、才能が開花する方法がきっとある」 という想いから小学校の教員に転職する。 最初は学力向上に力を注ぐが、 学級崩壊を体験したクラス担任に抜擢された時に、 不安感が高く、自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、 試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、クラスを立て直す。 これらの経験を通して、安心・安全な環境作りの 独自の手法を体系化し、翌年、学校全体に共有化すと、 全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が、 学校全体で86%、担任していたクラスでは97%へと向上する。 また、発達障がいや外国籍児童、生活困窮家庭を背景とする 児童が多くクラスに在籍する中で、 安心感の高いクラスとして心理学(選択理論)の論文の研究対象となり、心理学(選択理論)の大学院教授からは「奇跡のクラス」と称される。 子どもたちと共に過ごした日々を通して、 思いやりと優しさは生まれもってみんなに備わっており、 「天才のたね」も一人ひとりの中に必ずあること、 天才のたねは思いやりや優しさを通して開花することを学ぶ。