みんなにあるよ、天才のたね

「先生、私の息子、アスペルガーです。」

初めて出逢った時に、お母さんは私を真っ直ぐ見てそう言った。

 

「小さな時に、周りの子の様子と何か違うと思い

相談しにいったら、アスペルガーだと分かりました。

だから、他の子と違う行動をとるかもしれませんが

先生よろしくお願いします。」

言葉を飾ることなく、私の目を見て真っ直ぐに話すお母さんの姿勢に私は感銘を受けた。

 

一緒に過ごしてみると、

その男の子は、優しい心と透明な感性をもっていて、

私は、その男の子からの話を聴きながら、

優しさと感性のきらめきに触れることがとても好きだった。

 

その出逢いから4年後…

「息子に会ってほしい」とお母さんから手紙が届いたので、自宅にお招きした。

中学生になった彼は、私よりも背が高くなって、初めての家に慣れず、緊張している様子だった。

 

「学校はどう」と聞いてみると、彼は

「勉強がすきっと言っても、大丈夫な学校だった」

と言い、最近驚いたという数学の解き方について解説してくれた。

 

彼の話を聴く中で、ふと、彼の感性を通すと未来の社会の姿はどう見えるのか興味がわいた。

彼はこう答えた。

「僕はね、個人の意見が尊重される社会になると思う。

今、ここでしゃべっていても社会は何も変わらないけど、

その考えをみんなで共有して、現実化するシステムができたらいいと思う。

人は様々な考え方があるから、

地球に生きている人達全てのアイデアがつまった世界ができて、

もっとちがったカタチになっていく。

人間は地球を世界と捉えているけど、宇宙の果てが世界だと思えばもっと想像力がふくらむはず。

人間は、自分達の認知している範囲しか理解していないけど、

宇宙の果てには何かあるのか、地球の中にまだ発見されていないものはないのか、

疑い続ける事によって、人間は進化していく。そこには終わりはなく、無限の広がりがある」

彼の話を聴きながら、鳥肌が立ち

「天才だね~」と彼に向かって伝えた時に、

彼は、じっと私の目を見てこう言った。

 

「先生は僕だけを特別視しなかった。みんな一人一人に、天才のたねがあるって特別に思っていたでしょ」

 

4年の歳月を経て、私が大切にしていたことを、彼が覚えていてくれたのが嬉しくてナミダが出た。

その後、彼のお母さんから卒業文集に何人もの子ども達が、3年生や4年生で担任した私の言葉を

「小学校の思い出」として書いていたと伝えてくれた。

担任をしていた頃、子ども達のよさや才能、強みを見つけた時に

「天才のたね、見~つけた!」と、それはそれは大喜びしながら言っていた。

だから子ども達が書いてくれたのは、毎日のように言っていたこの言葉だと思う。

 

「みんなの中に必ず1つはあるよ、天才のたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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