天才のたね

ぼくの秘密基地~2019子育て万博スピーカー編~

スピーカーに挑戦いたしました!

5月12日母の日に、「2019子育て万博」が

アンフォーレ安城で開催されました。

今回は、「スピーカー」として登壇させていただきました。

当日のメンバー
右から
プレパーク主宰・(このいでたちで)児童館館長 ガクちゃん
ぺんぎん先生
中学校現役教師 早川先生
ファシリテーター 兼重日奈子さんと息子さん

2人のお子さんのお母さんでもある

ファシリテーター日奈子さんは、

「お話しを聞いた後で、お母さん達がホッとしたり、

これで大丈夫だと思えたりする会に」という想いで、

スピーカー3名から話を引き出してくださいました。

早川先生は、お子さん4人とも不登校の経験がありながら、

ご自身が学校で「不登校対策」の役割を担い、

ご病気から死線をさまよっての「今、生きている」からこそ、

大切にしたいことがとてもシンプルになり、

「家族の平和が世界の平和」を心から分かって伝えてみえる方でした。

ガクちゃんは、見た目のパンチ力同様、話す内容も本気そのもの!

わたしの表現力だと、せいぜいペンギンパンチレベルなので、

ガクちゃん主宰のプレパークに参加して、

「心が折れるくらいなら、骨が折れる方がまし」spiritを

遊びながら体験することをお勧めします。

トークセッションを通して、

ガクちゃんの心のふるえが最も伝わってきたのは、

継父から継続的に暴力を受けて命を落とした

5歳の結愛ちゃんについて触れたときのことでした。

「~略~これまでどんだけあほみたいにあそんだか

あそぶってあほみたいだからやめる

もうぜったいぜったい やらないからね

ぜったい やくそくします」

と5歳の結愛ちゃんは書き残していました。

ガクちゃんは結愛ちゃんのお手紙が報道された翌日、

「子ども達よ!アホみたいに遊べ」と大きく紙に書いて、

ご自身が館長を務める児童館に掲げたそうです。

このことを話す時のガクちゃんの目は真っ赤でした。

わたしはそのちガクゃんの真っ赤な目から、

結愛ちゃんのことがガクちゃんにとって自分事で、

子ども達の遊び場を全身全霊で守っているのだなと感じました。

秘密基地を作った子の涙

お話しがすすむ中、ファシリテーター日奈子さんから、

「小学校に通うわたしの息子が私有地に秘密基地を作り、

学校から2週連続呼び出されたことがあります。

ペンギン先生は、どう思われますか。」

と質問がありました。

わたしは「う~~ん」と返事に困りました。

なぜなら、私有地の状況も学校から電話がかかってきた時の様子も、

子ども達がしたことなどの「具体的事実」もよく分からないので、

判断できなかったからです。

そこで、以前担任をしていた子ども達との間に起きた

出来事をお話しすることにしました。

お話しした内容は、このような内容でした。

わたしが小学校3年生を担任していた時に、「公園に秘密基地を作った子ども達がいるから、学校で注意してほしい」という連絡が入りました。わたしは、公園に行き、秘密基地の状況を自分の目で確認しに行きました。すると、木と木の隙間に、穴のようなものをつくってあり、人が隠れられるようになっていました。うまいこと作ってあるなぁと思いました。ただ、1つ危ないなと思ったのは、折れたビニール傘がさしてあったことです。そこで、秘密基地を作った子ども達を呼んでお話しをすることにしました。「(秘密基地を作りたい気持ちはすごく分かるよ、だってわたしもやっていたもん!という思いを言外に発しつつ)秘密基地はとてもよくできていたね。ただ1つ気になったのは、折れた傘がさしてあって、わたしの様に、夜に目が見えにくい人にとっては、あぶないと思うけどどう思う?」と聞くと、秘密基地を作った子ども達は、わちゃわちゃと相談し始め、「公園はみんなが安全に遊ぶところだから、傘は危ないし、片付ける」ということになりました。子ども達が、片付けることに決めた日に一緒に片付けするつもりで再び公園に行くと、既に秘密基地で使われていたモノがきちんと分別されて片付けられており、そこまでの間で何一つ、子ども達を怒る必要はなかったのです。

トークセッションが終了した時のことです。

ファシリテーターの日奈子さんの息子さんが

柱の陰に隠れて泣いていました。

秘密基地を作った息子さんでした。

「ぼくのことを分かってくれる人がいた」

と言って号泣していたのです。

その後、泣いていた彼とわたしは隣同士の席に座り

今日の振り返りの場面で、

「今日はどんなことを思ったの」と聞くわたしに、

彼はまた涙をうるませ泣き始め

「どんな気持ちかは分かっているけど、今は言いたくない」

と言いました。

「今は、言いたくないのね。ただ、わたしも気になるから、

いつか言えるようになったら教えてね」

と言って、会話は終わりました。

もし、わたしが彼の担任の先生だったら、

翌日も、その翌日もじっと見守ることができて、

いつか話したくなった時に

どんな気持ちだったか聞くことができるのに、

それができないなんて残念だなと思いました。

フェアの基準を想い出す

翌日、わたしは自分が小さな頃のことを思い出しました。

わたしの家の前には小さな神社があって、

その神社にススキや草や小枝を積み上げで

秘密基地を作っていました。

押し入れの中に大好きな本などを持ち込んで

篭もり(こもり)部屋を作ったこともありました。

子ども達だけの秘密基地にいることはとても嬉しかったし、

篭もり(こもり)部屋の中で、

好きな本を読んで空想にふけることは楽しかったです。

そして、ふと自分の中に築かれた

「フェア(公平)」の基準を思い出しました。

外国人労働者の通訳をしている時に、

労働災害に遭った外国人労働者と

経営者側とのやりとりを通訳する際、

わたしはシーソーの真ん中、

中立の立場にいることが「フェア」」なのではなくて

圧倒的に声の小さな側に寄って立つことで

意志や想いが全体の場で話し合われることになり、

全体のバランスがとれて

「フェア」になるということを学んだのです。

この「フェア」の考え方は、

わたしのクラス経営にも活かされていました。

クラスのみんなが守るルールを決めるときとか、

とても大切な話題を話し合うときには、

少数意見だからこそ

声を上げて伝えた子どもの意志や想いは大切にしたかったし、

その意見がそれまで気がつかなかったことに

気づくきっかけとなって、

クラスがみんなにとって

教室がよりよい場に変わっていくことは何度もありました。

この「フェア」の考え方は、後に、

ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた授業を展開するときや、

排除のない学級づくりの考え方の基礎になりました。

おわりに

主宰・ボランティアスタッフ・スピーカー・子ども達

子育て万博の主催者は、くればやしひろあき&あきこ夫婦

ボランティアスタッフは多彩なママ達でした。

3人から600人位の方々の前で

主催者挨拶をしたことはあっても、

「スピーカー」として登壇するのは初めてでした。

貴重な機会をありがとうございます。

「ぼくの秘密基地」の男の子との出会いで、

心の中に言えない想いを抱えている

子ども側にぐっと寄った位置でお話しすることが

わたしにとっての「フェア」で、

わたしらしいなと思えた経験になりました。

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ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生 愛知県在住。元小学校教員。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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