天才のたね

絵本「おやおやじゅくへようこそ」~ペンギン先生の国語教室~

自分を大切に思う気持ち

あるがままの自分を認め、受け入れ大切な存在として

尊重する感情を基本的自尊感情といいます。

他者との比較などでほめる・認める・評価する・成功体験を積ませるなどで

ふくらんだりしぼんだりする不安定な感情を

社会的自尊感情といいます。

社会的自尊感情が肥大化したSbタイプの子ども達は、

不安感を抱えた「頑張り屋のいい子」となります。

一見、外側からは十分に自尊感情が育っているように見えるため、

気づかれにくいタイプです。

1度崩れると立ち直れないほどの辛さや苦しさに直面します。

一方、基本的自尊感情が育った子どもは、

何らかの失敗や叱責で社会的自尊感情がしぼんでしまっても、

十分に育った基本的自尊感情が心を支えてくれるため、

どん底まで落ち込むことはなく、

自力で立ち直ることができます。

わたしは、小学校の教員時代に子ども達への言葉がけ、関わり方、

信頼関係づくりを通して、

基本的自尊感情を育むことを実践してきました。

ペンギン先生の国語教室

2019年夏休み、受験競争激戦区で

国語教室を開催する機会をいただきました。

小さな頃から比較や競争の世界にいる

子ども達のつぶやきを聴いて痛みと愛情を感じると、

子ども達の気持ちを受け止めたり、

子ども達が表現しきれない気持ちに言葉を添えることに喜びを感じながら

わたしの命の時間をつかいたいなと思うようになりました。

絵本「おやおやじゅくへようこそ」

回を重ねて来てくれる子ども達の顔を思いうかべながら

選んだ絵本を子ども達が読んだり、

子ども達がお気に入りの本をもってきて

友だちと一緒に読んだり、わたしが読み聞かせたりした後で、

感じたことを対話を通して言葉にし、最後に短い文にまとめて書くことをしています。

文学作品「100万回生きたねこ」や「注文の多い料理店」では、

子ども達同士の間にも対話がうまれ、

子ども達の感性と感性との響き合い、

物語の世界が展開していくことに魅了されました。

今回は、絵本「おやおやじゅくへようこそ(浜田桂子著)」の読み聞かせをしました。

優しくて優秀な子ども達が先生の「おやおやじゅく」では、

塾に入った親たちは、毎日子どものお世話で大変な中、

がんばっていることを子ども達から拍手とメダルでねぎらわれます。

子どもは困る場面

「親と親がけんかすると子どもは困る」場面です。

「分かる~。(12歳・12歳・10歳)」

子ども達の声が重なりました。

「こっちにもトゲがとんでくるんだよ。(12歳)」

「他の人にやつあたりするからね。(10歳)」

「怒りすぎだよ。怒ると顔が変になるってことを覚えていかないとダメだよ。(12歳)」

子ども達のつぶやきを聞いて、大人代表として反省の弁をのべると、

「我慢させすぎはよくないよ。ストレスがたまると、怒りたくなるからね。(12歳)」

ドリルテスト①の場面

「子どもが道路の真ん中で泣いています。親はどうしたらいいですか。」の

ドリルテストの場面です。

7つの対応が絵で描かれています。

子ども達から1番不人気だったのは、「泣くな!」と怒鳴られることでした。

「(怒鳴られたら)もっと泣くよ。(7歳)」

「『泣くな!』と怒鳴るのとは最悪だ。(11歳)」

「下の子がいたら、いじめたくなるよ。(9歳)」

「将来がストップする。性格が悪くなるから(9歳)」

一方、「これ、これがいい」「わたしもこれがいい」と次々に子ども達が指をさして、

1番人気だったのは、

「楽しくおしゃべりしたいので、だっこして道路から離れ、落ち着かせる」でした。

2番人気だったのは、「笑ってほしいので、おもしろいダンスを踊ってみせる」でした。

「ぼくは、おちんちん見せる(7歳)」

「へ?」

「やっぱり、おしりにする。」

「どうして?」

「笑ってほしい。」

「そうだったの。泣いている子に笑ってほしいから、面白いことをやりたいと思ったのね。」

「うん。ぼくは泣いている子に笑ってほしい。」

ドリルテスト②の場面

「劇で女の子が王子様を、男の子がお姫様をやりたいと言っています。

親はどうしたらいいですか」のドリル問題の場面です。

「どうしてやりたいか、理由をきくのがいい。(8歳)」

「子どもにとってはろくなことなんだけど、

大人にとってはろくなことじゃないこともあるから、理由を聞いてから考えてほしい(9歳)」

「ぼくはすきなようにさせてほしい。

自分の道なのに勝手に決められると嫌になるから、自分の道は自分で決めたい(12歳)」

「連れて行きたいところじゃなくて、子どもが行きたいところに連れて行って、

やりたいことをちゃんとさせてやらないと(10歳)」

絵本を読み終わった時に

「(絵本)終わっちゃったの!(ドリルの)答えはないの!(答え合わせがしたいのに)(8歳)」

「それぞれ自分の答えをさがせばいいんじゃない(9歳)」

「あ、そうか!」

ある男の子の変化

「それぞれ自分の答えを探せばいいんじゃない」と言った男の子は

最初、国語が大嫌いでした。

スイミーを読んでいた時に、

「ぼくの泳ぎについてきて!でないと目玉が飛び出しちゃうよ!」

と、スイミーになりきったつぶやきが素晴らしかったので、

絵本を読みながら友だちと一緒に「つぶやき遊び」を試みました。

すると、言葉を1つ変えるだけで、物語の内容をがらりと変えるまでになりました。

そして、

「想像力を広げると、爽快な気持ちになるね」

と言ったのです。

言葉をつぶやく遊びに楽しさを感じるようになった男の子は、

「漢字テストの点も伸びてきたよ」と教えてくれました。

大っ嫌いだった国語にも、

得意なことや好きなことを見つけて、

遊んでいる時のように夢中になってやっていると、

その周辺の苦手だったことも伸ばしていく子ども達。

そして、放たれる子ども達のもつ感性のきらめきに、

わたしはいつも魅了されます。

自分の感情にどのような言葉を与えていくか

「自分の感情にどのような言葉を与えていくか。

じつはこれが『表現する』ということです。人間は『表現する動物』です。

あるできごとや、出会った風景、そこから生まれた感情や感覚に、どのような言葉を添え与えていくのか。これは人間の営みそのものであるといえます。

子どもの感性はとても豊かです。それに対して使いこなせる言葉はそんなに多くありません。数が限られているのです。無数にあって多様性を秘めている感情に、どのような言葉を与えられるのか。限られた言葉をどのように組み合わせて、その感情をいい表すのか。うまく言葉を創造できる子どもは、自分の気持ちをいつわらないで生きようとする姿勢の強い人になります。言葉の創造の仕方に子どもの個性と人間性が表れます。

~途中略~         

親の強制力が強ければ強いほど、子どもはイヤイヤながらもそれに従います。理不尽なことを強制され、心の中では不満でも、親のいうことを聞けば『いい子』だと思ってもらえる。子どもはここで親との葛藤を封印します。自分をださずに、先回りして親の期待を読み、そのとおりにやっていれば評価が得られる。ほめてくれるし、愛してもくれる。期待どおりに振舞うのが安全でいちばんいい道なのだと、『偽りの自分』をつくるのです。

 心の深いところで、不満をかんじていても、表にだしてしまうと幸せになれない、もう1つの自我、つまり、『偽りの自分」』をつくり、適応していこうとします。これがいわゆる『いい子』です。しかし現実は、『心が二重構造のいい子を演じている屈折した子ども』なのです。」

              「子どもが育つ お母さんの 言葉がけ 汐見稔幸著」より

汐見稔幸先生とはこちら

参考記事:危うさを抱える「頑張り屋のいい子」~Sbタイプの子ども達~

     つまずいた子ども達への愛のムチか無知のムチか~子ども達の姿が真実~

     基本的自尊感情とは、自分を大切に思う気持ちのこと

     読書感想文WS~ぼくは一生忘れないし、忘れたくない~

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生(たかはし あやお) 愛知県在住。元小学校教員。講師。(近い未来)作家。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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