愛おしいは、いと美味しい

おばあちゃんからの友チョコ

名古屋の真ん中、丸の内のマンションに住んでいた頃のこと

隣の部屋に80歳をゆうに過ぎたおばあちゃんが引っ越してきました。

おばあちゃんの1人暮らしが気になったわたしは、

いただきものがあるたびに、ピンポーンとチャイムを鳴らしては、

「おみかんです。」

「お漬け物です。」

「りんごです。」

「おばあちゃん、ご飯食べてる?」

「おばあちゃん、これどうぞ。」

とお届けに行っていました。

おばあちゃんからわたしは「あや様」と呼ばれていて、

ある日、

「さきほど、ご主人のご尊顔を拝しましたのよ。」

と言われたときには、

「ご、ごそんがん??、ご尊顔、、、?まこちゃんのこと?」

と理解するのに10秒ぐらいかかたこともありました。

とても上品な言葉遣いをするおばあちゃんでした。

おばあちゃんと親しくなると、

「あや様、どうぞおあがりになって」

と誘われ、

おばあちゃんのお部屋にいって

お話しを聞かせてもらうこともありました。

おばあちゃんのご主人は結婚してすぐに戦争に行き、

特攻隊の先導役として、敵の近くまで飛んでいき、

ご主人はUターンをして引き返し、仲間を見送ったお話しを今でも覚えています。

バレンタインデーの日のことです。

まこちゃん(夫)がゴディバの義理チョコ(2個入り)をもらってきました。

チョコレートが大好きなわたしは、まこちゃんに

「1つちょうだい。半分こ」

とお願いしました。するとまこちゃんは、

「これは、俺がもらったのだ、2ことも俺が食べる。」

と言ってくれませんでした。

その会話の後で、ピンポーンとチャイムが鳴りました。

扉を開けると、お隣のおばあちゃんでした。

「あや様、いつもありがとうございます。」

と、差し出されたおばあちゃんの手には、

ゴディバのチョコレート14個入り。

おばあちゃんから有り難くいただき、

まこちゃんに大いに自慢し、

「あのとき半分こしていたら、わたしも半分こしたのに~」

と憎まれ口をたたいて、14個を1人でいただきました笑。

通い続けて10年以上の丸の内の美容室の方に

おばあちゃんの友チョコのお話しをしました。

「その方は、丸の内でビルを3つ所有している財閥(とってもお金持ちの意味)の〇〇さまよ」

と言われたのです。びっくり。

財閥のおばあちゃんにみかんやお漬け物、生ラーメン1袋を

おすそわけしていたことを思うと、

クスクスと笑えてきました。

おばあちゃんとのやりとりは、私たちが引っ越す日まで続きました。

引っ越しをする前日、おばあちゃんにご挨拶に行きました。

すると、おばあちゃんは、私たちの部屋を見たい!(上品な言葉で)と言ました。

都会のわりには、風通しも日当たりもいい部屋に入った瞬間、

「とても明るいお部屋ですこと。この部屋にわたくし住みます。

今から大家さまにご相談してくるわ。」

と即決したのです。

私たちの使っていたカーテン、

わたし用の小さな机を気に入ったおばあちゃんに

そのまま置いていくことにしました。

バレンタインデーが近づくと思い出すおばあちゃんとの時間です。

Photo by Emmy

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生(たかはし あやお) 愛知県在住。元小学校教員。講師。(近い未来)作家。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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