天才のたね

絵を描かずにじっとしていた男の子の「天才のたね」

最近、育休中のお友だちが娘さんを連れて我が家に遊びにきました。

しばらく会っていない間に娘さんは立って歩くようになっていました。

「うわー立って歩いているね」と娘さんが歩く姿を

友だちと一緒にニコニコと眺めていると

彼女がこんなことを話してくれました。

周りの子と比べて立って歩くことが遅くなると

専門家に言われて落ち込んだこと。

周りの子はできていることが、

娘はどうしてできないの?と考えると

どんどんと辛くなっていったこと。

思い切って子どもを連れていく場所を変えたら、

そこでおじいちゃんやおばあちゃん達に

「可愛い子だね」

「いつか歩くようになるから大丈夫だよ」とたくさん言われて、

心配でいっぱいだった気持ちが少しずつ安心していったこと。

そうしたら、〇〇がまだできない、、という見方から

今日は機嫌良くご飯を食べた

今日はつかみ立ちできるようになったと

娘さんの昨日と今日を比べて

「できるようになったこと」や「努力していること」を

見つける見方に変わっていったこと、

子どもは子どもに合ったペースで

成長しているんだと思うようになっていったこと。

この子にはこの子の「天才のたね」が

きっとこの子の中にあるんだなって

信じられるようになったことなど

それまでの辛さや喜び、そして体験を通して気づいたこと

そしてわたしが国語教室やソトカサなどで

今でも子ども達と関わっていることを知ってとても嬉しいと

一つひとつかみしめるように伝えてくれたのでした。

彼女のお話を聞いていたら

ある男の子とのエピソードを思い出しました。

図工の時間に絵を描かずにじっとしていた男の子とのエピソードです。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

図工の時間、一枚の白紙を前にして、

鉛筆をもつわけでも

何かを話すわけでもなく

じっとしている男の子がいました。

「どうしたの?ここに絵を描いてみて」

「何か困っているの?」

そう声をかけても、首をふって

じっとして何もしないまま、

図工の時間が終わりました。

わたしは、はて、いったいどうしたものだろう、、、

絵を描くことができない子だとは思えないし、、、

白紙の紙を前にして男の子にどう対応したものかと思案しました。

再び、図工で絵を描くことになりました。

前もって下書きをする時間を創ることにしました。

すると、その時間も男の子はわら半紙を前にして、

やっぱりじっと何もしないまま図工の時間が終わりました。

わたしは、男の子に伝えてみることにしました。

「この紙には今、何も描かれていないけど、

あなたの心や頭の中には、きっと何かあると思うの。

何も描かなければわたしの目には見えないから、

わたしには伝わらないまま分からないまま。

あなたが何かを描いたら、わたしの目に見えて

何かがわたしに伝わるの。

わたしはあなたの頭や心の中に何があるのかを

知りたいし見てみたい。

一本の線でもいいのよ。」

と伝えると、男の子はこくんとうなずきました。

翌週、図工の時間がやってきました。

今回もまたじっとしているのかな、、、と思っていたら

男の子は鉛筆をもつと

自画像の輪郭を一気に描ききったのです。

消しゴムを一回も使うことはありませんでした。

描かれた作品をじっとみると

男の子の線は細いものの

そこには全く迷いがありませんでした。

白紙を前にしてじっとしている子を前にすると

「何をモタモタしているの、さっさとやりなさい!」

とイライラしながら注意したくなることがあるかもしれません。

わたしはこの男の子に出会って

「じっとしていたのはきっと

白紙を目の前にして

頭の中で何度も何度も絵をどう描こうかと

シュミレーションをしていたからなんだな。

最後までを頭の中で描いてから

スタートするタイプだったんだな。

じっとしていたのは

じっと考えていたからで

何もしていないんじゃなかったんだな。

もしかしたら、次の図工の時間までの1週間、

どう描こうかと考えていたのかもしれないな」

ということに気がついたのです。

これこそが彼の才能だと思いました。

図工の時間に絵を描かずにじっとしていた男の子の「天才のたね」

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生(たかはし あやお) 愛知県在住。元小学校教員。講師。(近い未来)作家。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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