子ども達との小さなお話し

ナミダの居場所

ナミダの役割に気づかせてくれたのは

私が小学校の先生をしていた時

担任をしていたクラスにいた

10歳の女の子でした。

何でも良くできる姉がいて

いつも比べられて育った彼女は

10歳にして眉間にシワを寄せては

〇〇君が言う事を聞いて「くれない」

〇〇ちゃんがやって「くれない」と

いつも、いつも訴えに来る子でした。

 

内心私は彼女の事を

「くれない星人」と名付け、

彼女が話にくる度に

「~してくれない」という訴えの裏にある

「認めてほしい、誉めてほしい」という

苦しいぐらいの切なる願いを

感じながら接していました。

 

ある日、彼女が再び

「男の子が掃除をちゃんとして『くれない』」

と、言いに来ました。

そこで、その子を呼んで

「どうなの?」

と聞いてみみました。

すると、外国籍の男の子君が

怒ったようにこう言ったのです。

 

「あいつはぼくが話すと、日本語をバカにして笑うんだ。

あいつの言う事なんか、聞いてやるもんか。」

 

確かにいつもお姉ちゃんと比べられているからなのか、

時々「わたしよりできない」と

人を見下すような態度をとることが気になる子でした。

そこで、彼女を呼んで聞いてみました。

 

「かれははこう言っているよ。本当はどうなの?」

 

すると彼女が、「わーーー」

と泣きだしたのです。

いつも私に良いところを見せようとする

「くれない星人」のことだから

私に指摘された事がキツくて

泣いているのかと思いました。

 

そのままずっと泣きやまないので、

彼女にイスをもってきて

肩が触れ合う位の場所に座ってもらい

泣き止むまでジーッと待ちました。

5分経ち、10分経ち、15分経ち

やっと泣き止んだ彼女に聞きました。

 

「ナミダが出ちゃったのはどうして?」

 

その質問に彼女は首を横に振ったのです。

そこで私は彼女の両手をとり、

目をじっと見つめてゆっくり言いました。

 

「もし分かったら教えてね。

あなたの気持ちが気になるから」と

 

翌日の朝、彼女はおずおずと

1冊のノートをもってきました。

 

それを開くと1ページにわたって

びっしりと彼女の想いが書いてありました。

 

私は男の子との事に対する言い訳が

書かれていると思っていたので、

彼女が書いてきた内容に驚きました。

 

「私が泣いていた時に、ただただ黙ってそばで見守ってくれた。

そんな事は初めてだったから、その温かさが嬉しくて

ナミダが止まらなく流れてきた」と書かれてあったのです。

 

そして、その日から彼女の様子が変わりました。

 

「くれない星人」を卒業し、笑顔が増え

眉間のしわがなくなり、

「ゆう君がこんな事できるんだよ」

と、友達の「よさ」を見つけ始めたのです。

そして、同じ様に自分の「よさ」を見つけ始め、

同時に苦手な事は、苦手だと認めるようになったのです。

 

私は、彼女との出来事から

ナミダの役割を学びました。

 

温もりの中で、ナミダを流すと

心のゴミが一緒に流れて

それまで映らなかった事が

心の眼に映るようになり

感じられなかった喜びが

感じられるようになるのだと

そんな浄化のナミダがあるのだと

 

その後も彼女の様に

突然、「わーー」と泣いて

その後、

きらきらときらめくように変化する子ども達に出逢い

ナミダの役割は確信となりました。

「温もりの中で流すナミダは命を輝かす」と

 

 

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生(たかはし あやお) 愛知県在住。元小学校教員。講師。(近い未来)作家。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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