子ども達との物語

ふわふわとチクチク

子どもの想いを叶えたい

いつも友だちとケンカになって、

「仲良くしたいのに、できないんだ!」

と、わたしに訴えた子どもがいました。

続きはこちら

わたしは子どもの訴えを聴いて、

「そもそも仲良くするって何か」と問いをもっていた時に

見つけ出したのが「選択理論」です。

そして、その「選択理論」を

学校現場で活かせる本を探していた時に、

見つけたのがこちら↓でした。


選択理論の授業をやろう!と決め、

日本語を母語としない外国籍児童にも伝わるようにと

人間関係を壊す7つの習慣を チクチク

人間関係を築く7つの習慣を ふわふわ

と工夫して、

「ふわふわとチクチク」の授業をしました。


子ども達に分かりやすくするために、授業では
「ひはんする・せめる・文句をいう・無視をする・たたく・ける」
とした


子ども達に分かりやすくするために、授業では
「話をよく聴く・助ける・はげます・信じる・受け入れる」
とした


すると、授業後に女の子がやってきました。

「先生、わたし気づいたことあるよ」

「なになに?」

「ふわふわだと、『天才のたね』が成長して

 チクチクだと、しおれちゃうね」

「本当だ!ふわふわだとみんなで成長スパイラルだね」

すると、絵が得意だった彼女は、絵を描いてくれました。

10歳の女の子の作品


こちらのポスターと

ふわふわ(話をよく聴く・助ける・はげます・信じる・受け入れる)

チクチク(ひはんする・せめる・文句をいう・無視をする・たたく・ける)

を教室に掲示して、

「ウザい」「死ね」などの言葉が飛び交い

ケンカがしょっちゅう起こっていた教室で

「ふわふわとチクチク」の振り返りを日々淡々と行うと、

子ども達が「今使った言葉ってチクチクだった」

と自覚するようになりました。

長年の癖がなかなか治らない子には、

チクチク言葉を使った時に、

「今、言ったよ」と黒板や紙に書くなど

視覚的な理解を促したりしました。

そして、「チクチクを消します」

と言って

子どもが黒板消しで消したり

紙に書いたチクチク言葉を

丸めてゴミ箱に捨てることを動作化すると、

実際にチクチク言葉が減っていきました。

教室の雰囲気が変わりました。

「うざい」「バカ」「どうせ出来ない」

「むり~」などの言葉が飛び交い、

友だちの挑戦をあざ笑ったり、

バカにしたりするなど、

冷たい関わり方だった子ども達が、

友だちの挑戦を応援し励まし、

友だちのことを自分のことのように

泣いたり笑ったりして

共感が広がるクラスとなっていきました。

忘れられないエピソード

ふわふわとチクチクで、

忘れられないエピソードがあります。

ある男の子(9歳)が言いに来たことがありました。

「先生、ぼくね、ふわふわとチクチクで気づいたことがあるよ」

「なあに」

ふわふわさんとふわふわさんは、仲良くなるでしょ

「本当だね~」

「あのね、チクチクさんとチクチクさんはケンカになるでしょ

「本当だ!」

「ふわふわさんとチクチクさんだとね、ケンカにはならないけど

ふわふわさんはチクチクさんのトゲトゲで傷つくでしょ

「本当だ!確かに傷つくね!」

「じゃあね、先生、ふわふわさんはチクチクさんと

仲良くしないといけないの?」

わたしは、どう答えたものかと

「う~~~~ん、

 う~~~~~~~~~~ん

 う~~~~~~~~~~~~~~ん」

と、考え込みました。

その男の子は、わたしをじっと待っていました。

そして、

「確かに、チクチクさんのトゲトゲは痛いけど

どうしたのって手を差し伸べる人でありたい。」

と答えると、男の子はにっこりと笑って

「ぼくもそうしたい。」

と言いました。わたしは聞いてみました。

「どうしてそうしたいの」

「チクチクさんのトゲトゲは、

本当はその子の心が傷ついているからなんだよ。」

この子の存在があったからこそ

「飛び出し君」が転校してきたときに

「飛び出し君」を入れて4人の班で

「飛び出し君」チームを創りました。

誰が「飛び出し君」に優しくできるか

誰が「飛び出し君」に優しくできる子を応援できるか

そして、

誰が心が平和で「飛び出し君」に穏やかに接することができるか

と考えた時に、

その男の子は心は、最も平和で穏やかだとわたしが感じて

一番最初に、「飛び出し君」の隣の席にした子でした。

暴れたり、暴言を吐いたりする「飛び出し君」に、

わたしが「ダメ」という否定の言葉を使わずに、

「今、これをするよ」と「飛び出し君」に言うと、

わたしと一緒に

「ダメ」という否定の言葉を使わずに、

「飛び出し君」に

「今、鉛筆をもつよ」「今、教科書〇ページだよ」

と忍耐強く言い続けてくれた子どもでした。

この男の子の存在があったからこそ

わたしも続けることができました。

おわりに

でこぼこでも、真っ直ぐじゃなくても

前に前にと進む力が子どもにはあるよ。

そして、子ども達一人ひとりに

必ず1つは「天才のたね」があるよ

と信じていたわたしと

わたしが出会った子ども達とのお話しです。


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ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生 愛知県在住。元小学校教員。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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