漢字テストのストレスが限界に
ある時、お友だちのFB投稿がふと目にとまりました。(お友だちに許可をいただいて転記します)
【がんばる息子】
今、お風呂から出たら、旦那の部屋から息子のすすり泣きが…明日漢字のテストがある息子は漢字のテストで、毎回90点の合格ラインに、1度でパスをしたことがない。毎回受かるまでの追試を受けている。そしてこの追試も放課の時間にやる。遊びたい息子にとって一番こたえること。1年生から毎学期ごとにある漢字のテスト、宿題と同じでかなりストレスの溜まること。宿題もそうだけど、ストレスの限界が来て、荒れる、泣いたり、ノートをぐしゃぐしゃにやぶったり、きつい状態になるんだよね。そこまでして、やらなくていい。と私は思う。でも、彼は1度で、追試なしで合格をしたいと思っている(思っているならテストの時じゃなく、普段から覚えれば良いのに…と思うけど、難しいよね)だから、泣きながらでもやっているんだ。今まではその相手を私がやっていたけど、私がもたない。疲れきってしまう。~途中略~
ついつい、コメントを書く
こちらを読んで気になったわたしは、何だか放ってはおけない気持ちになって、ついついFBのコメント欄に長文で書いたこと……
疲れきっちゃうよね。もう試してみたかもしれませんが、今までやってみた(先生時代の)漢字テスト攻略法です。
・替え歌つくる
・ダンスにする
・カタカナの組み合わせで覚える
・意味を先に知る
・先読み音読法を取り入れる
・お母さんにくっつく
・友だちに応援パワーもらう
・3つのコースから選ぶ
ヒント大ありコース・ヒントちょっとコース・ヒントなしコース、いろいろ試み組み合わせを考えます^ ^苦手なことをする時に
独りぼっちが嫌…
遊べなくて嫌…
怒られるのが嫌…
嫌と漢字学習がくっつくと、ストレスで覚えにくくなるから、楽しいと漢字がくっつく様に工夫します。教室で教えている方法が息子さんに合わないなら、息子さんの得意なメディアから学びを取り入れて、漢字の定着にもっていく。漢字が定着しづらいのなら、補う(おぎなう)方法を見つけると息子さんも周りもラクになるかも。ちなみに、算数が闇(やみ)と言っていた5年生女子のかけ算攻略法は、「踊って覚える」でした笑。ずっと嫌で覚えなかったのに、ダンスにしたら覚えました。よかったら息子さんと漢字ノートと連絡帳もって遊びに来て下さい。
我が家に親子がやってくる
こちらのやりとりを経て、昨日、親子でスコーレ・ペンギン(我が家)にやってきました。様子を見ていると、お友達(お母さん)と一緒の方が初めての場所で安心するお子さんだったので、同席していただきました。早速、漢字についてどんな気持ちでいるのかを色彩心理学を使って聞いていきました。すると息子さんの漢字学習への色のイメージは「紫」。分からない、面倒くさい、やりたくない、嬉しくない、なんかもうどうでもいいと「紫」らしい気持ちがわんさか出てきます。※この場合、「紫」の色のネガティブな意味が出てきます。
以前、算数のかけ算が苦手だと言った5年生の女の子も算数といえば「紫」、なぜなら「闇(やみ)」だからと言っていました。学校で教えられた方法では覚えられず、どんな方法が適切な学び方なのかも分からず、2人の子どもからはとても困っている様子が伝わってきました。この2人のように、分からずに困っている子どもには、得意なことからアプローチをするのがペンギンルールです。だから、好きなことや得意なことを先に見つけていきます。すると、運動が好き、サッカーが好き、身体を使うことが楽しくて好きに続いて、「自分より上手い子と競り合って点を取った時には喜びが違う」という言葉が、その子の口から出るくらい向上心があって、その分できないことがあると悔しいという気持ちを人一倍強く感じる子なのだなという「その子らしさ」も少しずつ分かってきました。そして、大好きなサッカーの話をしているうちに、「漢字は『書く』のが面倒くさい」とつぶやいたので、彼にとって漢字学習の何が嫌なのかが具体的に分かりました。彼にとって苦手な「書く」を最小限に減らして、得意なことからアプローチをする学び方に変えればいいのです。漢字ノートや連絡帳を見せてもらったら、字画も配置もOKでした。ただ、本当に繰り返し書いて練習することが嫌だ!もうやりたくない!ということがありありとノートの字からも伝わってきました。書き順もなかなか覚えられないということでした。
試みる
漢字を教える時に、1(いち),2(に),…と画数を数えて教える先生もいますが、これは本当に子ども目線からするとつまらない学び方です!子どものもつ好奇心や知的欲求をこちょこちょとくすぐれば、子どもは自ず(おのず)と学ぶようになります。漢字の場合だと、漢字には意味があって、部首やつくりの組み合わせで、例えその漢字が読めなくても、意味を類推することができるというのが漢字の面白いところなのです。そこで、漢字をパーツごとに分けて覚える方法(下村式)を教えてみることにしました。先ず、小さなステップを用意します。4年生の漢字の中で、簡単な「以」と「失う」をパーツごとに分けてみることをしました。「以」を指さして、「この漢字の中に、カタカナが隠れているよ」とクイズのように言うと「レとソ、それにちょん(、)だ」と彼が応えました。「そうだね。そして、レに似ているけど、少し違うところがあるのが分かるかな」と聞くと「下がとび出ている」と、細かなところも見つけられることが分かりました。そこで、「レとソとちょん」と空がき(指を動かしながら大きく書く方法)を3回しました。次は「失う」です。漢字をじっとみてから彼は「ノと二と人」と言って、1回空書きをして、「覚えた!」と言いました。「じゃあ、1回だけノートに書いて練習してみようか。(サッカーで感じられた向上心を測りながら)わたしね、漢字のチェック、けっこう細かいよ」と言ってみました。すると、彼は、すごく丁寧な字で「以」と「失う」を書いたのです。書き順も正しくできました。気にして練習したことが伝わったので、ここはそのままに「うまいなぁ!」と絶賛してみると、彼は嬉しそうな顔になった後、ノートをもう一度見て、「失うが何か、カタチが違う。本当は、二の下の方がもうちょっと長いし、人のはらいもうちょっと長い」と言って、だれからも「やりなさい」と言われていないのに自ら直しをしたのです。そして「なんか、バランスが上手く書けない」と更に言ったのです。自分で気づいたこと(レとソとちょん)を自分で試して上手くいったから(1回で覚えられた)、漢字に対して向上心(バランスが整った字を書きたい)が出てきました。
2つの漢字を試みた後、お母さんからの励ましを受けて、彼は覚えられなかった「養う」という漢字を覚えることにチャレンジすることになりました。「養う」という漢字は「ソと王と八、ちょん、ヨとレ、ノ、はらい」の組み合わせで覚えていきます。「ソと王」を覚えたら、次は「ソと王と八」というようにスモールステップにして覚えていきます。何回か口で言いながら空書きをして、ノートに書くことに挑戦すると!これも、一回で正しく書くことができました。書き順もバッチリでした。ただ、全体のバランスが難しく感じるようだったので、学校で指定されたノートのマス目よりも一回り大きくして、間に点線があってバランスが見取りやすいノートの方が上達する旨を伝えました。後は、今日覚えた漢字を、次の朝、もう一回だけ空書きをして復習する機会をつくると定着していくことでしょう。又、今回はカタカナや漢字の組み合わせで覚えましたが、その内慣れてきたら、無理はせずスモールステップで部首とつくりで覚えていくようになるといいです。
さて、今回の漢字が苦手な男の子に適した学び方は、
・空書きと一緒に声に出してやる
・その後で、1回か2回、ノートに書く
でした。そしてもう一つ…彼にとって欠かすことのできないことがありました。そうなのです!「レとソ、それにちょん」と言いながら、空書きしている時に彼はずっとずっとお母さんの背中や膝にくっついていたのです。「お母さんにくっついて漢字を覚えるとどんな気持ちなの」と聞くと「何か嬉しい気持ち」と言って笑うのです。苦手な漢字を学んでいるのにも関わらず…子ども達一人ひとりに必ず一つは「天才のたね」があるよ!が信条のわたしにとって、学ぶことに疲れちゃった子どもが、嬉しい気持ちになって学ぶ姿を見るのはとてもとても嬉しいことです。そこで
・お母さんにくっつく
も、子どもの視点から伝えさせていただきました。「今日の漢字の学び方、どうだった?」と彼に聞くと、「何か、楽になって漢字がふつうになった」と彼は応えました。
その子どもにとって適した学び方を「漢字の学び方レシピ」として渡す時に、「今まで、合わないやり方で漢字の勉強をやってきて本当に4年間もよく我慢ができました。あなたはとても頑張り屋さんでした。」と伝えると、彼の身体が嬉しそうにゆらゆらとゆれました。ずいぶん合わない学び方をし続けて苦しかったんだなと感じました。
おわりに
学ぶというのは本来、楽しいもの…今まで辛くて疲れちゃった漢字の時間が、これからは嬉しくて楽しい時間になるといいな。
「今日(12月22日)はいろいろな漢字の簡単な方法を教えていただきありがとうございました。メリークリスマス!アハハハハ~~!!!!!」のボイスメッセージと共に送られてきた写真
めっちゃ嬉しいクリスマスプレゼントや~~~♡♡♡
関連記事 漢字の苦手な子どもに、適切な学び方をさがす(後編)
解説編~・~・~・~・~・~・~・~・~
スコーレペンギンのスコーレとは何か
Schole(スコーレ)とは、School(スクール)の語源となるギリシャ語です。「遊び・学び・余暇」という3つの意味があって、今から二千数百年前のギリシャ人たちは、「知的な余暇の時間」をもつことが最高の幸せであると考えていました。公立の学校教育に適応するための勉強を教えるのではなくて、「目の前の子どもに適した学び方は何かな?」を問いに、ご縁のある方々に我が家で試みています。