心と対話と物語

16年前に逝った父と対話ができた日~星のカケラという名前~

わたしの名前、あやおは「文尾」と書きます。

男と間違われることがしょっちゅうあるこの名前…

特にこの名前に使われている「尾」が、実はずっと嫌でした。

小学生の頃、絵画コンクールで受賞した時に、

校長先生に全校生徒の前で、

「ふみお君」と呼ばれたことがありました。

前に出て行かなかったら、

「ふみお君、ふみお君、早く出てきなさい」と連呼され、

「あやおと言います」と伝えたら、

「名前にはいろいろな呼び方があって」と

校長先生がごまかしたのも嫌な気持ちに拍車をかけました。

漢字の由来を調べると「しかばね」に、

動物のしっぽを表す「毛」という字で、

せめて「糸偏の緒ならいいのに」と何度も思いました。

今回の東北をユニークな仲間達と旅をし、

神や仏や自然と人を繋ぐ山伏の星野先達に出逢いました。

星野先達に名前を伝えた時に、

「美しい名前だね」と

言われたことが、ふと心にのこりました。

初めて出逢った人に、

「美しい名前ですね」と

言われることが、最近何度かあったからです…

なぜ、今、こんなに気になるんだろう…

静かに自分の心に聴いてみました。

そして、思い出したのです。

小学生の頃、父に、

「どうして文尾という名前にしたの」

と聞いたことを…

その時、父は、

「『文尾』は美しい名前だと感じたからだよ」

と私に言いました。

父が感じた「美しい」って何だろう…

父が感じた「美しい」を知りたくなりました。

もう一度、漢字の成り立ち、字源、由来を調べてみました。

すると「尾」には星座の名前、

「足垂星(あしたれぼし)」の意味があると載っていたのです。

月が地球を一周する間に、

通過する28星座の1つ、

二十八宿の1つが足垂星(あしたれぼし)だったのです。

目を閉じて、心を静めて、

夜空に浮かぶ星々を、

砂漠で見た星空を、

旅先で見た星の景色を、

順に思い浮かべたその時に、

父の魂と私の魂が繋がって、

父の想いが一気に流れてきたのを感じました。

戦時中、小さな頃に実母が逝き、

戦後直ぐに、中学1年生で実父が逝き、

義母と義弟とともに、

父は長男として貧しい時代を生き抜いた父は

食べ物が十分にないときに、義弟に義母がこっそりと食事を与え、

父がもらえなかったこともあったことを、

酔った父の口から聞いた母が私に話したことがありました。

その話を聞いた時に、

空腹とともに感じた父の孤独はどれほどのものだろうと、

子どもだった私の心は痛みました。

貧しかったために、中学を卒業して直ぐに奉公に出された父は、

それでも学ぶことが諦められずに、奉公先を逃げだし、

昼間は郵便局で働き、夜は高校に通い、

周りの人達からは何年か遅れて、大学に進学しました。

大学では学費の支払いが滞る度に、

掲示板に名前を張り出され、

それを見た教授に学費を工面してもらい、

その教授の後継者にと望まれていたのを、

義弟への仕送りのために教師となった人でした。

哲学に精通し、「カミソリ」と言われる程の感性の鋭い人でした。

父親代わりとなった教授の紹介で、

父が母に出逢い、私が生まれました。

私が生まれた時に、父が私を抱いて、

「ああ、ずっと独りだった俺に、

これでやっと本当の家族ができた」

と、父が心の中でつぶやいたのを

生まれたばかりの私は聴き、

父の孤独が私の存在で一気に癒やされていくのを感じたのです。

そう、父にとっての私は、

孤独だった父の闇を照らす光、

この世に生まれた星のカケラだったのです。

父はきっと、

心が打ち砕かれるような出来事に出会う度に、

うつむいた顔を上げて、父は夜空を見上げ、

星々の輝きを見つめていたことでしょう。

だから、父の感性と智慧でもって、

わたしに「文尾」と名付けたのだと思います。

父が「美しい」と感じた名前。

大自然の中で、私は「本当の自分」、

「素(す)」に還っていきました。

自然と人とを繋ぐ山伏の星野先達に出会いました。

雨降る羽黒山を裸足で歩いたら、

いのちの歓びを大地から感じました。

帰り道の車の中でかかっていた曲

「星のカケラ」が妙に気になりました。

ヒントがちりばめられた旅を振り返り、

静かに自分に問いていったら、

父の想いが流れてきたのです。

時間も空間も飛び越えて、

16年前に逝った父との対話ができた今日という日(2017年6月3日)

追記

後日、星野先達に再会し、父と対話ができた体験をお伝えしました。

すると

「直感で言ったことは、覚えていないんだよ。

魂とはそうゆうものなんだ」と仰っていました。(2018年4月11日)

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生(たかはし あやお) 愛知県在住。元小学校教員。講師。(近い未来)作家。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。