ペンギン先生の実践

その道のプロに聞く!~ヤンキーコミュニケーション~

子ども達の下校を見送って、

随分ためこんだプリントや、

書類を今から片付けなくちゃなぁと

教室に戻ろうとした時に事件勃発!

事件の概要は以下の通り…

学校きってのやんちゃ坊主が2人

ノーヘル(ヘルメットをかぶらない)で、

自転車に乗っているところを、

生徒指導の先生が職員室の窓から目撃

「お前ら2人、職員室にこい!」

と呼び付け、

やんちゃ坊主が職員室に連れて行かれたすぐに、

バオバオバオ、キキキーッという爆音とともに、

車高の低い改造車(シャコタンというの?)が、

学校の駐車場に入ってきました。

車の中から見事なヤンキー父ちゃんが、

「おれの息子をいったいどこに連れてった、おら~」

と怒鳴って現れたのです。

ケンカ上等なその様子に、

ケンカが苦手なペンギン先生、腰がひけます…

そこに、強い味方!

体育会系熱血先生男1

体育会系熱血先生女1が登場

先生男1「何かご用ですか」

父「何かとは何だ、おれの息子をどこやったんだ、われ~」

と吠えわたる声!100㍍四方に飛んでいきます。

すると、その吠え声を聞いて、

ヤンキー父ちゃんの仲間、伝説のヤンキー母ちゃん2人が

のしのしと登場…

そして、

駐車場近くで腕を組んでギロリとにらみつける…

その姿、まるで仁王像のよう…

こ、怖い‥‥‥

さらに腰が引けるペンギン先生…

その間も、

先生男1「今ですね、息子さんは指導中でして」

父「お前なんかに話とらんわ!」

先生女2「お前とは何ですか。」

父「うざいんだわ、だまれ!」

先生女1「うざいとは、何だ!」

父「うざいからうざいと言ったんだわ!」

と、闘鶏のように胸を付き合わせて戦闘態勢!

3人の間からイライラの渦が拡大中。

すると、ヤンキー母ちゃん2人が、

おもむろにのしのしとヤンキー父ちゃんに近づき、

地面から30㎝ぐらい台の上に2人で乗り、

再び腕を組んでギロリとにらみつけたその姿たるや…

ついに伝説のヤンキー母ちゃん2人も参戦か!

高まる緊張感…

その時です!

伝説のヤンキー母ちゃん2人の様子を見ていて、

「あ、あれ!?これって猫のケンカシーンと一緒かも…

(猫は、高い場所にいる方が勝ちというのを漫画で読んだことがあった)」

それを思い出したペンギン先生

なんだかフッと笑えてきたのだ。

フッと笑って気持ちがゆるんだその直後!

ひらめいた!

そもそもですね、

分からないことがあれば、その道の優れた方に、

「分からないです」と言って聞くのが1番いいですね。

だったら、ヤンキー父ちゃんの言い分は、

伝説のヤンキー母ちゃん2人に聞いてみればいいじゃないか!

ひらめいたら、即行動!のペンギン先生!

さっきまで怖がって腰が引けていたのに、

仁王像の様に腕を組んで立っている、

伝説のヤンキー母ちゃんのところに行き、

2人をかなり見上げながら、

「さっぱり分からないから教えてほしいのですが

あのお父さんは何を言いたいのか分かります?」

と聞いてみました。

すると、ヤンキー母ちゃんが、

「あいつはだな、やんちゃな子ども2人を一人の先生が叱ったって、

どうせ言うこと気かへんで、1人ずつ話をするように言っとるんだわ」

と、言ったのです。

(えーーーーーーーーーーーーーーそれ本当ですか?

全然そんな風に見えないですけど!!!!)

と、心の中で思いつつ、

「そうなのですか、じゃあ、ご本人に聞いてみますね。」

と言い、

ヤンキー父ちゃんVS熱血体育教師男1女2のところに行き、

「あの、ちょっとよろしいですか?」

と、ヤンキー父ちゃんと先生男1女2の間に入りました。

(参照 イライラケンカを乗り越える~子ども達の再生と成長~

イライラの渦の拡大を防ぐには間に体を入れるのがコツ)

そして、

「あちらの(仁王像の様な)お二人に聞いたらですね、

お父さんが伝えたいことはですね、

やんちゃな子ども2人を1人の先生が叱っても、

ちゃんと聞くような子どもじゃないから、

一人ずつ話をするように言っているとのことだそうですが、

お父さん、そうですか?」

すると、お父さんが、

「おお、そうだわ。あいつらを一人の先生が叱りつけたって、

また直ぐにノーヘルやりおるで、

ちゃんと命を大切にしろって、

1対1で話ししてほしいんだわ。」

さっきの態度と言葉からは全然、分かりませんでしたけどーーーーー!

しかし、言っている内容はごもっともーーーー(ペンギン先生の心の声)

「子どもの命を大切にしていることは、

お父さんも先生も同じ思いをもっているということですね。

なら、別々に指導するということでいいですね。」

と、ペンギン先生が言うと、

「おう、そうしてくれ。」

と言って、父ちゃんは再び、

バオバオバオ~と爆音とともに去り、

伝説のヤンキー母ちゃん2人も、のしのしと帰って行ったのでした。

やんちゃな子ども2人は、先生と1対1でお話しをし、

その後、ヘルメットをかぶるようになりました。

「分からないことは、その道のプロに聞く!」

ヤンキーのことは、ヤンキーに、

子どものことは、子どもに、

学級経営のことは、会社経営者に、

ペンギン先生の心に聢と(しっかと)刻まれたのでした。

ためこんだプリントは翌日に持ち越し…チーン

Photo by Emmy

ABOUT ME
ペンギン先生
ペンギン先生 愛知県在住。元小学校教員。 学級崩壊のクラスを受け持ち、「面倒くさいし」「やりたくないし」「出来ないし」という子ども集団を目の前にして、「何とかしたい」「道を拓きたい」と懸命に試みていたあの頃の私を思い出しながら書いています。 自己肯定感の低い子ども達や家族の心の闇に直面し、「子ども達一人ひとりに、必ず1つは『天才のたね』がある!」「温かな家族のようなクラスにしたい!」という想いを心の灯火に、試行錯誤しながらも課題に1つ1つ取り組み、全国平均76%よりも低かった子ども達の自己肯定感が担任していたクラスでは97%へと向上しました。 このブログを通じて、子供達の可能性を信じる気持ちが波紋のように大人たちに広がることを願っています。

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